要約を制する者は読解を制す!そのやり方とコツ
文章を読み解く問題の勉強法として「要約」が挙げられる場合がしばしばあります。
実際、要約をするという勉強法には効果があり、中学、高校、大学のいずれでも要求される力を鍛えられます。
しかし、文章の要約はなぜそれほど重要なの?そもそもどうやってやればいいの?と考える人もいるはずです。
今回は、要約の意義とやり方のコツを紹介します。
要約が重要な理由
要約でしっかり文章を読めたかどうかの確認ができる
読解問題において、文章の理解は不可欠です。
選択式の問題でも記述式の問題でも、要求されるポイントは「課題文をしっかり読めたかどうか」です。
要約は、文章全体を理解していないと書けないため、書きあげた要約文の出来は、自分の文章読解力の指標になります。
文章を書く力がつく
要約文は自らの頭の中にあるものを文章化する力もつけられます。
後にも言いますが、要約という作業は単なる文章の書き写しではなく、言い換えて新たな文章にすることです。
「言い換えて新たな文章にする」とは頭の中で文章を作って書くことなので、事前と文章作成能力がつきます。
この能力は記述問題を解くほか、小論文の対策にも有効です。
英語にも使える
以上は、国語や小論文など、日本語の文章を想定していましたが、要約によって磨いたスキルは英語にも使えます。
英語長文を解く際、英文を訳せるかどうかに加えて、その長文の意味を理解できているかも問われるため、同様に英文の要約によって理解度のセルフチェックが可能です。
また、英作文のように、文章作成能力が要求される場合もあります。
英語も日本語と同等の(むしろ語彙が日本語より減るため英語の方が)能力が必要になってくるのです。
要約の方法
要約は「凝縮」ではなく「摘出」
勘違いしてはいけないことは、要約とは文章の「凝縮」ではなく文章の「摘出」なのです。
よくやってしまいがちな方法は「凝縮」、すなわち文章のすべての要素を入れようとしてできるだけ文字数を少なくしていくことですが、要約としては間違いです。
本来の要約は、文章の中で特に重要な要素を抜き出す「摘出」が正しい方法となります。
そのため、元の文章のすべての要素を入れる必要はありません。
文章の内容をまとめるために取捨選択していく作業が要約です。
主張を探せ
文章中の何を摘出すれば良いのでしょうか。
まずは「主張」です。
主張を探す目印は「キーワード」や「キーセンテンス」です。
「キーワード」は、その文章が何の話をしているのかを示せるため、要約においては外せません。
文章中何度も使われている言葉やフレーズを探してみましょう。
キーワードの把握は、キーセンテンスの発見にもつながります。
「キーセンテンス」は、筆者の主張が書かれた文章のため、最も重要な部分といえます。
「重要なのは」「~なのではないか」「~だと考える」等、筆者の強調や主観が入っている表現は、キーセンテンスの目印になる傾向が高いです。
これらを元に、筆者の主張はどんなものなのかを割り出しておきましょう。
根拠を探せ
キーワードやキーセンテンスを並べるだけでは要約として不十分でしょう。
要約にはこれらがなぜ「キー」になっているか、すなわちなぜそう主張できるのかという根拠も含める必要があります。
筆者の主張が「ツチノコは本当にいる」とわかった場合、「ツチノコを見たという証言がいくつもあった」という根拠の部分を探し出さなければならない、ということです。
この根拠の部分は、キーワードやキーセンテンスと異なり、客観的な、つまりできるだけ多くの人が納得できるような部分が該当します。
「ツチノコを見たという証言がいくつもあった」という文章は、一人ではなく何人かがツチノコを見たという点で客観的な文です。
そのような根拠がどこにあるのか(複数ある場合もあります)を見つけておきましょう。
なお、根拠自体が主張になっているということもあります。
先の例でも、おそらく本番では「ツチノコを見たという証言がいくつもあった」という主張を根拠づけるために、「ツチノコの目撃事例が報告されたのは○○年だった」「その後○○年には何度か目撃証言が相次いだ」等々、いくつかの具体例を使っているでしょう。
ここでは、文章全体の主張を大主張、それを根拠づける主張を小主張と呼びましょう。
難しい問題だと、どれが大主張でどれが小主張なのかがわかりづらいです。
文章中でのこの二つの違いが分かっていないと解けない設問も多いのです。
要約を通して、どれが大主張でどれが小主張かを見抜く練習をしておきましょう。
反対意見を探せ
多くの論説文は、自分の意見とは逆の意見と対比しながら論を進めていきます。
これは比較対象を挙げることで、より自分の意見を際立たせられるからです。
なので、筆者の主張の根拠づけとして反対意見を要約に入れられるなら入れたいです。
反対意見の見分け方の目安は2つあります。
一つは「しかし」「だが」「ではなく」などの逆説表現の前に書かれていることです。
前の文が逆説によって否定される一方、その後ろの文は強調されるため、キーワードやキーセンテンスの発見にもつながりますね。
もう一つは「~だと思われている」「従来は~」「今までは~」など、過去から現在に向かって多くの人が信じている思い込みや意見です。
わざわざ文章を書く理由は、「当たり前とされたこと」を覆すためであることが多いです(逆にみんなが知っていることを書いても…という感じはしますよね)。
そうなると自分の意見は「今まで多くの人が信じてきた当たり前」とは対にならざるを得ません。
丸写しではなく作文せよ
現在、主張と根拠、反対意見が何なのかを把握できたでしょう。
では、これらを書き出せば良いのかというとそうではありません。
文章の一部分を抜き出したのですから、そのまま書き出すとどうしてもぎこちない文章になってしまいます。
そこで、これまで摘出した要素を意味が通るように書き直してみましょう。
この作業を通じて、自分で文章を作り出す能力が鍛えられます。
できれば摘出した主張、根拠、反対意見も本文中そのままではなく自分で言い換えて使うと、より力になるでしょう。
誰が見ても元の文章が伝えたかったこととその伝え方がわかるような作文を心がけてください。
どう書けばいいかわからない人は、
「(反対意見)ではなく(主張)。なぜなら(根拠1)(根拠2)…だからだ。」
という文章に当てはめてみましょう。
このフォーマットも、不自然がないように細部を変えながら当てはめてみてください。
文章が出来上がったら、再度読んでちゃんと意味が通った文章か確認しましょう。
意味が通らない場合は、主張か根拠の抜き出し方を間違えている可能性があります。
論理に飛躍がある場合は入れるべき根拠が抜き出せていないかもしれません。
字数によってどう書くか異なる
以上が要約の基本的なやり方ですが、これは時と場合によって変えていかねばなりません。
例えば、設問で要約問題が出され、字数制限がある場合です。
要約問題の文字数は40字、100字、200字など様々あります。
ここで、要求される文字数が極端に少ない場合、上記の反対意見は削る必要がでてきます。
それでも入りきらない場合は根拠を削ってしまうことも選択肢の一つとして入れておきましょう。
逆に多い場合は、先に述べた小主張の根拠を書き加えても良いです。
要約の練習方法
では、以上の流れを実践してみましょう。
おすすめは、教科書や問題集に載っている文章を使った練習です。
とくに指定がなければ、文章の量にも依りますが、目安は大体100字程度です。
可能であれば、学校や塾の先生に見せて添削してもらいましょう。
注意すべき点として、要約の練習ができるの文章は論説文だけです。
小説や歴史の要約は、筆者の「主張」に当たるものがないため、上記のプロセスは使えません。
また、要約は必ず文章がある程度読めることが前提です。
とくに、英語の要約練習をする前には、かならず基礎的な単語や文法を習得しておきましょう。
終わりに
要約はやるだけでも大変な作業です。
しかし、その苦労の分、続けて得られる力は本物です。
英語と国語で、ほかの人と差をつけてしまいましょう。
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